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EMRとは
常の大腸ポリペクトミーではスネアで絞厄しにくい病変をつかむときや、確実に取りきるために大きく切除する際に穿孔(消化管に穴が開いてしまうこと)を防ぐため、病変と筋層の間の粘膜下層へ生理食塩水などを注入し持ち上げて人工的に隆起を形成し、切除する手技です。
粘膜下層に生理食塩液の層があるため、大きく切除しても、安全な方法となります。
適応
腺腫性ポリープや転移病巣がないと推定される早期癌が対象となります。
早期癌の対象
胃:2cm以下の潰瘍を有さない深達度mの高分化型腺癌
大腸:深達度sm1までの分化型癌
食道:全周にわたらない深達度m2までの癌で多発しないもの
EMRの方法
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1.病変の存在を内視鏡下に確認し、インジゴカルミン
(食道ではルゴール)を散布して、病変の形状・性状や
正常粘膜との境界がどこまで及んでいるのかなどを観察します。 -
2.病変の下層へ局注用の針を刺します。
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3.病変と筋層の間の粘膜下層へ生理食塩水を注入し、
病変を持ち上げます。 -
4.ループ状の電気メスをポリープにかぶせていきます。
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5.電気メスを徐々に縮めて、取り残しのないよう辺縁の境界部分に
電気メスの刃をあわせていきます。 -
6.火傷を最小限に抑えるため電気メスをしっかり絞厄し、
ポリープをスネアで軽く持ち上げて通電を行い切除となります。
痛みは感じません。 -
7.ポリープ切除完了です。この後、取り残しはないか、
出血はないか、切除の深さはどの程度かなどを観察し
問題がなければ終了となります。
このように細心の注意を払いながらポリープの切除を行っています。
内視鏡を用いた病変の切除には、この方法のほか大腸の腺腫性ポリープを対象としたポリペクトミーや、大きな病変を切除することができるESDなどがあり、症例によって手技を使い分けています。
注意点
EMRは外科的に開腹することもなく、痛みもない為、簡単に考えられる方が多いですが、病変部を切除することには変わりありません。ポリープの大きさ・形・ポリープ内の血管性状などによっては、まれに予期せぬ合併症(出血・穿孔)を起こすこともあります。
日帰りでポリープ切除も行っていますが、あくまで小さく・数が少ないポリープを対象とし、出血などの合併症が生じないよう、また生じた場合でもすぐに対処・治療できるよう、ご本人も各種条件・生活制限の条件が厳守できる方が対象となります。それ以外の方は入院を原則としています。場合によっては外科的手術(開腹手術)が必要になることもありますので、合併症を防ぐためにも下記のことにご注意下さい。
- EMR後、アルコールは1週間は禁止となります。
- 力仕事や腹圧のかかる仕事、激しい運動(ゴルフなど)も1週間は中止です。
- 長時間の車の運転や旅行は、治療後1週間程ひかえましょう。
- シャワー浴は翌日から開始して構いません。入浴は1週間後からになります。
- 食事の制限があります。流動食から始め、徐々に普通食に戻していきます。
禁忌
※心疾患・脳疾患等で抗血栓薬を内服している方は数日間中止する場合があります。
係りつけの医師に手紙を渡しますので、ご相談下さい。
切除したポリープは病理検査に提出するため検査結果まで数週間かかります。