胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、胃液という強い酸の刺激によって胃や十二指腸の組織が剥がれ落ち、内部からえぐられた状態を指します。本来、胃は塩酸やペプシンなどの消化液を分泌し、食べ物の消化を行っています。しかし、何らかの原因でこの胃液が胃や十二指腸の組織をも溶かしてしまう疾患が胃潰瘍や十二指腸潰瘍であり、これを総称して消化性潰瘍とも呼びます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な原因はピロリ菌の感染です。ピロリ菌は胃の中に棲む糸状の細菌で、胃の粘膜を傷つけ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こします。その他、非ステロイド性抗炎症薬の副作用として、胃の粘液が減少し、胃酸によって胃粘膜が障害されることで潰瘍が発生する場合もあります。
最も多い症状は上腹部痛です。胃潰瘍の場合、食後1時間から1時間半後に痛みが現れます。十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間にみぞおちの辺りが痛みます。痛みの種類としては、焼けるような痛み、鈍痛、疼くような痛みがあります。
悪心や胸焼け、げっぷ、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感などの症状も見られます。これらは主に胃潰瘍に多い症状です。
潰瘍が進行すると、出血が生じることがあります。この場合、嘔吐物に黒っぽい血液が混ざることが見られます。大量に出血がある場合は、嘔吐物が血液の色を帯びることもありますし、便にも血液が混ざり、黒色便となることがあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の有無を確認するためには、胃カメラ検査が実施されます。検査結果に基づき、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が判明した場合、以下の治療が行われます。